お葬式のときに親族側に求められるマナーとは
2018年11月28日
お葬式を取り上げる記事では、そのほとんどすべてで、「親族」という言い回しがとられます。
故人の身内の立場になったときに求められる立ち居振る舞いやマナーは、参列者として参加した場合とはまた異なります。
お葬式の際に親族に求められるマナーや働き方について見ていきます。
「親族」と「遺族」の違いについて
「親族」と「遺族(家族)」、両方の言葉がお葬式の場面では使われます。この2つに違いはあるのでしょうか。
実はこの2つの違いに関しては、かなりあいまいなものです。
一応「血縁関係があるかどうか」などで分ける場合もありますが、たとえば「20年以上、嫁と姑の関係で仲良く同居していた。しかし実の血を分けた兄弟とはもう疎遠で、40年以上も合っていない」というような場合、血縁だけで前者を「家族ではなくて親族」と断言することはなかなか難しいと思われます。
「息子夫婦と同居していた」などのような場合、「それではお嫁さんは血がつながっていないので彼女だけ親族席にする」とはできないでしょう。
親族と遺族(家族)の違いは、現在では明確ではありません。
ただ、慣習的に、「一緒に住んでいた(あるいは高齢者施設に行くまでの間一緒に住んでおり、手続きや世話、介護などをその後も継続的に行っていた)」人たちは「家族」としてくくられるでしょう。
親族に求められる働きとは
「親族」と一口に言っても、その立場はさまざまです。
「一緒に住んでいなかったけれど、交代で介護をしており、故人とも親しかった」という人もいれば、「数十年会っていなかった。血がつながっているだけの人だ」ということもありえるでしょう。
親族に求められる働きとは、それぞれの立場で異なりますし、喪主側がどう考えるかによっても異なります。
ただ、喪主側・遺族側から「このようなお手伝いをしてほしい」と頼まれれば、それに従うのがマナーです。
実際の例では、「朝食の買い出しをお願いされた」「遠方から来るほかの親族の送迎を頼まれた」「家の仏壇の世話を頼まれた」などの例があります。遺族に小さなお子さんがいる場合は、その面倒を見ることを頼まれる場合もあります。
詳しくは後述しますが、エプロンなどを持参した方がよりよいでしょう。
お葬式に親族がしていく格好について
「親族」の立場で出るときと、「参列者」の立場で出るときでは、同じお葬式であっても装いが異なる場合があります。
男性の場合はブラックスーツを着用し、女性の場合は黒のワンビースや黒のアンサンブル(ブラックフォーマル)を着用します。ただ、「一緒には住んでいなかったが、極めて故人と近しい関係だった」という場合は、男性ならばモーニングコート、女性ならば黒のアフタヌーンドレスを着用することもあります。
関係によっては、親族であっても参列者と同じ格好が許容されることはあります。
また、「父方の親族の方は形式にこだわらないので、故人の兄弟であってもブラックスーツでも大丈夫。
しかし母方の親族の方はかなり厳格なので、モーニングコートが望ましい」というようなこともありえます。
ちなみに、親族の場合は参列者よりも格式の高いもしくは同等以上の格好をすることが求められます。
しかし、「足を悪くしているので、正式な喪服は着ることができない」などの事情がある場合は、動きやすい黒の服装で出ても構いません。
なお、親族の場合、「お手伝い」というかたちでお葬式に貢献することが求められる場合もあります。
現在では料理なども仕出しに頼ることが多くなってきましたが、念のためにエプロンを持っていくとよいでしょう。
なお、葬儀のエプロンは黒一色のものとされています。
現在は通販でも手軽に買うことができますし、1000円以下の値段で購入することもできるので、1枚持っておくと安心です。
親族のあいさつと供花
親族の立場になったときには、あいさつにも気を使わなくてはなりません。
お悔みの言葉をいただいたときなどは、「ありがとうございます、故人も喜んでいると思います」などのように丁寧に答えましょう。
また、何か質問をされた場合やわからないことが合った場合などは、独断で答えないで、遺族の意向を確認するようにしてください。
ちなみに、親族から送るものとして、「供花」「供物」があります。
これは花や乾物類などを送るもので、「声をかけてもらったが、どうしても参加するのが難しい」などのときに弔意を表す手段として送るものです。
お葬式に参列する場合でも「親族一同」などのようにして出すこともあります。
ただ現在は、これらの手続きも喪主が一括して行う、というケースも増えています。
遺族側の意向をまずは確かめ、それに沿って動くようにしてください。
親族の立場でお葬式に参列するとき、「どこまで手や口、お金を出したらよいのか」という問題が出てきます。
故人との繋がりにもよりますが、基本的には遺族の意思を尊重するようなかたちで動くとよいでしょう。