「家族葬」って誰を呼べばいいの?
2018年10月2日
家族葬は、一般の参列者を基本的にお断りし、家族や親族だけで故人を見送るかたちをいいます。
葬儀が縮小化していっていること、高齢化社会となり故人も喪主も高齢で参列者が多く見込めないこと、家族だけで静かに見送りたいと考える人が多くなっているため、現在では非常にメジャーな葬儀のかたちとなりました。
大手の葬儀会社のなかで、家族葬を取り扱っていないところはないと言ってもよいでしょう。
一般的になった家族葬ですが、「どこまで呼べばいいのか」「誰を呼べばいいのか」という疑問が出てきます。
「ここまで」という明確な決まりはない
家族葬は小規模な葬儀であり、一般葬(ここでの「一般葬」は、「一般の参列者を受け入れ、通夜と葬式を行い、香典を受け取り香典返しを渡す。供物や供花も受け取る」といったかたちの葬儀を言います)とは異なります。
一般葬では受付が設けられ、そこに近所や会社の人などがやってきますが、家族葬の場合は「遺族や、生前の故人が声を掛けた人」で行うのが一般的で、家族や親族だけで行われるのが普通です。
しかし実際には明確な決まりはなく、葬儀ごとで「どこまで声を掛けるか」は異なります。
5人未満で行う
「同居している家族」「配偶者やその子どもなど、長い間一緒に暮らしていた家族」などで行う極めて小規模な葬儀です。また、「親戚縁者とほとんど繋がっておらず、配偶者も子どももいない遠い親戚が亡くなった。自分とも20年以上面識はないが、血縁者は自分だけなので葬儀はする」というような場合も、喪主やその配偶者だけで行われることがあります。
10人程度~20人程度で行う
子どもやその配偶者、そして孫なども参列する家族葬です。直系の血縁者で送るかたちであり、最近よく行われる葬儀となりました。また、故人の兄弟姉妹が存命中であれば、彼らが参列することもあります。
20名~30名程度
比較的広い範囲まで声を掛ける家族葬です。これの場合は「直系」ではなく、甥や姪などのように少し遠い範囲の「親族」にまで声を掛けることになります。「親族の長老的な立場の人で、親族みんなから大切にされていた」というような場合は、こちらを選ばれることがあります。
30名以上
一般葬とは異なり、家族葬の場合は参列者の数が少なくなるのが一般的です。ただ、場合によっては、「喪主が著名な人。通達していないと、喪主関係の人がたくさん来てしまう。そのため、義理の関係ではなく、とても親しかった人だけで送りたい」と希望する場合は「30人以上だけれど、家族葬」というかたちになることもあります。この場合、故人と親しく付き合っていたご友人や、故人がお世話になっていた人などを呼ばれるようです。
呼ぶ人の基準について
上記では「血縁関係」を中心として話をしてきましたが、家族葬はそもそも非常に「個人的な葬儀」としての性格が強く出るものです。
また、「故人は、親族はいたもののほとんど付き合っていなかった。しかし隣近所の人や友人には非常によくしていただいた」というようなケースもあるでしょう。
このような場合、たとえば3のケースであっても、縁の遠かった甥や姪は呼ばず、友人を呼んで葬儀をするのも一つの手です。血の濃さはたしかに一つの判断基準とはなりますが、家族葬においてもっとも重要なのは、「生前の故人との関わり方」なのです。
家族葬は、それほど大きくは告知せず、粛々と行われるのが普通です。
喪主や故人が会社勤めの人であった場合、忌引きや保険の手続きのために「故人が亡くなったこと」は会社に告げなければなりませんが、「家族葬なので参列はお断りする」という旨を伝えるようにしています。
参列予定のない人には、葬儀の件は基本的には言わなくてよいでしょう。
たとえば、「特に親しくなかった近所の人」などの場合は、葬儀を行うこと自体話さなくても構いませんし、後で聞かれたら答えるくらいでよいでしょう。
なお、「血のつながりがあるため訃報自体は入れなければいけないが、家族葬に参列してもらうつもりはない」という人にも、参列辞退の話を入れておくとよいでしょう。
自分が声を掛けられた場合には、「日時や場所」を明確に示されていない場合は控えておくことをおすすめします。
ただ、家族葬の場合、「Aさんを呼んでBさんを呼ばなかった」となると、いろいろ問題が起こりがちです。特に、「故人と親しかった方のおばは呼ぶが、親しくなかった方のおじは呼ばない」などになると、後々問題が出てきてしまいかねません。
もちろん明確に「この人は呼ばなくてもよい」と判断できるのであれば別ですが、そうでないのであれば、一応声を掛けた方が良いでしょう。
また、家族葬を行うときには家族間での話し合いが必要です。
「小さな式をするなど、故人がかわいそう」という意見を持っている人がいる状態で家族葬を強行すると、しこりが残りかねません。
全員が納得するかたちの葬儀を行うことが重要です。